この地方伝統漁業文化には、そのの気質がよく反映されていると言えるかもしれない。

農業を営む困難さを目の当たりにしていた若者の多くにとって、海は無限の可能性を秘めた世界で、そこに勇敢に漕ぎ出す漁師という仕事は素晴らしい生き方に見えたに違いない。

ビスケー湾の深い海がもたらしてくれる海の幸は多い。

メルルーサから、この沿岸を回遊するマッコウクジラまで、何世紀にもわたりこの地方の漁師たちは様々な魚を捕ってきた。

中でも、この200年の間で一番商業的に成功したのは、「ボニート・デル・ノルテ(北のマグロ)」と呼ばれるビンナガマグロの伝統的な保存法を用いたオリーブオイル漬けだ。今日では、このビンナガマグロは世界中にその名を馳せている。ビンナガマグロは毎年、6月から10月の間に、アンチョアやイワシの群れを追いかけてカンタブリア海にやって来る。

そうしてカンタブリア海にたどり着いたビンナガマグロは、この地方の漁師たちによって一匹ずつ伝統的な漁法(生き餌による一本釣りやトローリング)で釣り上げられる。

このようにして捕られたビンナガマグロが品質証明書を得るには、いくつかの条件を満たす必要がある。バスク伝統沿岸漁業区域として指定された特定の海域(FAO 27海域)において、先述の伝統漁法によって捕獲されたものでないといけない。「バスク・カンタブリア海のビンナガマグロ」と呼べるのは、この品質証明書が付いたThunnus alalungaを原材料に使用したものに限られる。

「バスク・カンタブリア海のビンナガマグロ」のブランドには、繊細な職人技による保存加工技術が欠かせない。職人の豊富な知識と経験が製品の高い品質を守るのだ。

オリーブオイル漬けが伝統的な製法であるが、製品の品質向上となると考えられる場合は、植物油や加工工場が自社で生産したその他の液体(ソースを作るためのワインビネガーやリンゴ酒ビネガーなど)の使用も認められている。